春の目印
毎年、この季節になると驚くことがあります。
殺風景なビルの谷間、ご近所さんの庭先、路地の奥……。
「こんなところにも桜の木があったんだ」と。
ほかの季節には見向きもしなかった場所に、薄紅色の花々が咲いていて、
足を止めて、見とれてしまいます。
桜は、春を告げる花。
そして、私たちに日本人であることを思い出させる花なのだと思います。
花びらだけじゃなく、幹や、根や、葉っぱにまでご祖先様の魂がこもっていて、
「日本の心を忘れちゃダメだよ」というメッセージを放っている気がするのです。
だからでしょうか。
桜を見たあとは、しみじみ「日本人でよかったぁ」と感慨にふけってしまいます。
そして思うのは、
桜の下では、コーヒーよりも日本茶、ケーキよりもお団子よね、なんてこと。
結局、“花より団子”というオチになってしまうのが、自分らしいのですが(笑)。
この時期、“今年入社しました”というフレッシュマンを見かけると、
心の中で「大変だけど、がんばってね!」とつぶやいてしまいます。
東京ではよくある光景なのですが、
高いビルを見上げながら、キョロキョロしている人を見ると、
「上京したてなんだろうな。道、わかりますか?」と声をかけたくなるのです。
みんな、最初は1年生。
私だって道に迷ったし(いろんな意味で)、田舎と違うルールに驚いたりもしたけど、
どうにかやって来られたし、きっと助けてくれる人がいるから大丈夫だよ!
と、勝手にエールを送っています。
新人時代など今は昔の私ですが、やってしまいました。
先日、見知らぬ街のスタジオへ向かう途中で道に迷ってしまったんです。
渡されていた地図はアバウトだし、タクシーが1台も通らない……。
取材に遅れてしまう! と途方に暮れていたら、偶然、道をたずねたご夫婦が、
車で送ってあげると言ってくださったんです。
そのご厚意のおかげで遅刻することもなく、無事に取材に間に合いました。
よかったあ。
いろんな人から「いまどき、ヒッチハイクに成功するなんて!?」と、驚かれたのですが、
確かに。当の本人が一番ビックリです。
でも、優しい人っているものです。
人生、捨てたものじゃないですね。
今度は、もらった優しさを、誰かにバトンタッチしていこう――。
しみじみと思ったのでした。
桜前線が移動していくように、人の優しさも連鎖していきますように。
★桜コレクションin東京★
↓山崎まさよしさんもカバーした名曲「大きな玉ネギの下で」にも登場する千鳥が淵は、
東京きっての桜の名所。奥に見えるのは“大きな玉ネギ”こと、日本武道館です。
↓桜並木を、手をつないで歩いていた、素敵な老夫婦。
長生きしてください、と、後姿を見送りました。

↓期間限定、ピンク色の絨毯。すぐに散ってしまう儚い運命だけど、散ったあとも美しい……。
私も、桜のような潔い女になりたい!