2007.4.29
映画って素晴らしい!
最近、かなりの本数の映画を観ている。
それも邦画ばかり。
もちろん仕事の一環なのだが、それを忘れてしまうほどエキサイティング!
いやー、「日本映画もがんばってんなあ」と、偉そうなことを言いたくなってしまうほど。
本当にどの作品も素晴らしいのだ。
というわけで。今日はなかでも、超おすすめの1本をご紹介したい。
私のたっくさんある夢のひとつに「映画作りの手伝いをする」というものがあるが、
最初にそう思ったのは、中江裕司監督の『ナビィの恋』を観たときだった。
真っ青な海と空。
浅黒く日焼けした島の人たち。
亜熱帯ならではの強い光と、同じだけ深い闇。
大好きな沖縄の風景が、そのまま、色鮮やかにスクリーンに映し出されている。
居ても立ってもいられなくなった。
私も、もっと知識を身につけて、心を豊かにして、いつか映画作りに参加してみたい!
お茶汲みだって、チラシ作りだって、私にできることも何かしらあるのでは?
だったら、いつか……そう強く思ったのだった。
(ROUROUではいくつかの映画に、衣装を提供しているわけだから
ある意味、すでに願いが叶っているということかもしれないな!)
そんな衝撃を与えてくれた中江監督の最新作が誕生した。
バンドに青春をかけた少年たちの物語『恋しくて』だ。
先日、取材で監督とお目にかかることができた。
なんだか感無量!
思い描いてた通りの、沖縄の太陽みたいに力強くて熱い方だった。
「僕は人の生き死にをテーマにした映画を作り続けるんだ」
そうおっしゃていたが、今作もカラッとした沖縄の空の下、
生きること、命が尽きることの意味を盛り込んだ、感動作に仕上がっている。
知り合いにチラシを配るついでに、映画評を書いた。
雑誌に載せるためじゃなく、自由に書くって楽しい!
(そうやって、仕事がどんどん押していくんだけど。笑)
もしよかったら読んでやっていただきたい。
そして、「どんな映画なの?」と気になったら、ぜひ映画館へ。
大きなスクリーンで、沖縄の美しい風景を眺めるだけでもプチトリップ気分。
『狙いうち』とか、『年下の男の子』とか、懐メロ満載で元気が出ること請け合いです。
以下、映画評。
「WHAT A WONDERFUL WORLD(なんて素晴らしきこの世界)」
私はいつも「今が一番楽しい」と思って生きている。
あの頃はよかった、あの時代に戻りたい、と思うことはないし、
思ったところで戻れるわけではないなら、潔く今を生きようと思っている。
でも、生まれて初めて「高校生に戻りたい」と思った。
そして、できることならもう1度、青春時代を送ってみたいと願った。
映画『恋しくて』を観た直後に。
この作品は、『ナビィの恋』でおなじみ、沖縄在住の映画監督・中江裕司さんによる最新作だ。
今回の舞台は沖縄・石垣島。
高校に入学した栄順は、引っ越したまま会えなくなった幼なじみの加那子と再会する。
そして、加那子の兄・セイリョウに強引に誘われ、バンド「セイリョウズ」の一員に。
ボーカルを任されるが、極度の恥ずかしがり屋で人前では歌えない……。
そんな栄順を励まし、楽しく歌わせる加那子。
いつしか、お互いを幼なじみ以上の大切な存在だと感じはじめていた――。
ふたりのやりとりが初々しくていい。堤防でのシーンがとくに印象的だ。
栄順「あのよ、俺らなんかって、付き合ってるば?」
加那子「付き合ってるさ」
栄順「あーよかったあ」
栄順の心底ホッとした、幸せに満ちあふれた顔がすごくかわいい。
くだらない駆け引きや告白なんかなくても、ふたりが通じ合っていたという“奇跡”。
それは、石垣島に降り注ぐ太陽のようにまぶしく、一途でピュアな恋。
あんな風にただひたすら誰かのことを好きになれるって、若さのなせる業だよなあ……。
うらやましいと同時に、純粋といえない大人になってしまった自分がちょっとだけ悲しい。
物語は、栄順と加那子の恋をベースに「セイリョウズ」から「ビギニング」に名前を変え、
キーボードの浩を加えたメンバーが「八重山バンド天国」への出場を経て、
東京でのコンテストに出場するサクセスを描く。
勘のいい方ならお気づきかと思うが、「ビギニング」は石垣島出身の3ピースバンドBEGINがモデル。
彼らのエッセイが原案なのだという。
『恋しくて』というタイトルは、デビュー曲にして大ヒットを記録したあの曲のこと。
元来メロウなナンバーだが、栄順が歌う、ポップバージョンもパワフルでなかなかよい。
ちなみに、BEGINのメンバーも本人役で出演し、
新曲『ミーファイユー』(方言で、親しい人への感謝の想いの意味)を披露している。
そのライブシーンも見所のひとつだろう。
劇中、いろんな歌が流れているのだが、とりわけ耳に残るのは、
スタンダードジャズの名曲『WHAT A WONDERFUL WORLD』。
加那子の母でプロシンガーの澄子(八重山生まれのシンガー・与世山澄子さんが好演)が、
人生を慈しむように歌い上げるシーンが秀逸だ。
〈緑の木々に真っ赤なバラ あなたとわたしのため命を咲かせている
なんて素晴らしきこの世界
紺碧の空に浮かぶ白い雲 晴れわたる光の昼 聖なる闇の夜
なんて素晴らしきこの世界〉(劇中の訳詞より)。
愛を知ることで世界は輝き、生きる喜びが増す。
たとえ永遠に続かなかったとしても、離れ離れになってしまったとしても。
誰かと深く深く想い合えた記憶は人生の宝物になるはず――。
大好きな島から映画に乗って届いたメッセージを、私は都会の真ん中でしかと受け止めた。