2005.3.23
なりたかったもの
子供の頃、「将来何になりたい?」と聞かれるのがすごくイヤだった。
というのも、なりたいものがなくて答えるのに困ったからだ。
年子の妹が、間髪入れずに「お菓子屋さん!」などと元気に答えるものだから、
オトナたちはその子供らしい答えに満足し、「じゃあ、ゆうこちゃんは?」と、
姉である私の答えを待つ。
けれど私はいつも「いま考えてるとこだよ」とお茶を濁すものだから、
「なーんだ」とつまらなそうな顔をした。
なんだか申し訳ない気がして、そのうち妹の真似をするように、
「パン屋さんになってパンを好きなだけ食べたい!」なんて答えたりしていた。
そうすると、オトナたちは目を細めて「単純だな」と笑ってくれたっけ。
最近、知り合いの子供が「メカレンジャーになる」とか、
「お姫様になりたい」とか言っているのを聞くと、
「子供らしくてかわいいなぁ」と感じる自分がいる。
そんなものにはなれないと知っている年齢だからこそ、
無邪気に憧れの人になりたいと言える時代を大切にしてほしいと思うのだ。
ああ、そうか。
そうだったんだ、と気付く。
私に「夢は何?」と聞いていたオトナたちも、きっと同じ思いだったんだ、と。
今年3歳になる姪っ子(妹の娘)は、「トマトになる」と言っている。
トマトが大好物だからって……食べ物よ?(笑)
でも、「そっか、じゃあおいしいトマトになってね」と答える妹は
オトナになった今も無邪気でかわいいな、とその素直さに憧れる私なのだった。