「400年後のかぶき者」...京都南座観劇の記
「八百屋お七」を菊之助が演じる夢を見たのは今年の初めだった。
実際八百屋お七の歌舞伎は見たことがなく、話を本で読んだだけだったので
多分自分の中でテキトーにこさえたお七だったんだろうけど、
恋しい人会いたさに半鐘を鳴らす夢の中の菊之助は大層美しかった。
その後少ししてカブキチの友人から、3月に京都の南座に菊之助が出ること、
そしてなんと八百屋お七をやることを聞いて心底驚いた。
菊之助が呼んでいる…そう思い込んだ私は南座に行くことを素早く決意し、
即座に連れ合いに借金を申し込み、先日つつがなく京都を訪れたのでした。
関ヶ原合戦の後、京都の四条河原にて出雲の阿国が始めた
「かぶき踊り」が歌舞伎の発祥であるという。
出雲の阿国から数えて今年で歌舞伎は400年、その記念すべき年に
誕生の地・京都にある南座で歌舞伎を観るという事にまず感無量な私である。
歌舞伎座に比べると南座は案外狭い。狭いがその分、舞台には近いかも。
客席には舞妓はん(多分)のお姿もちらほら、
贔屓筋から贈られるお花?みたいなのにもお茶屋さんの名前があり、
その辺りが実に京都っぽく雰囲気を盛り上げますわいなあ。
お約束の菊之助巾着や舞台写真等をせっせと購入してから観劇、
東京ではありえない程の菊之助出突っ張りアワーは美しく過ぎていくのだった。
夜の部のfeaturing新之助「源氏物語」(これまた厭味な程美しい新之助の、
業腹だが最終的に何もかも許せてしまう女たらしぶりにオール女子失神寸前)
を見終わってから、当然のように出待ち。
ここで普通に楽屋口へ私を誘う友人カッパに改めて感心する。
歌舞伎座より千近くも少ない座席数にも係わらず上等な席を確保し、
横浜から南座昼の部に間に合うよう分刻みのスケジュールを完璧に組み、
その間お茶(勿論伊藤園)やお弁当の手配もぬかりなく盛り込み、
観劇のポイントを事前に教授し、黒子や義太夫さんに至るまで説明してくれる。
とにかく素晴らしい段取りだ。
…君は一体何?って思ったりもするがまずは惚れ直したぞ。付き合いたい。
なんて思っているうちに新之助が颯爽と楽屋口から出てくる。
かっちょよさに打ち震える女子どもを一顧だにせず、
彼は祇園の方へ足早に去っていった。全く腹立たしい程にキマる男であるよ。